2012年12月3日月曜日

杉山敏『インセクツ』

杉山敏『インセクツ』は現代日本を舞台に、人為的に操作されて凶暴・巨大化した昆虫が人間を襲うパニック作品である。製薬会社・テルバイド化学は昆虫を突然変異させるペレナドウイルスを開発した。テルバイド化学は有用なタンパク質を生み出すために山一つを実験場として生物実験を繰り返す。しかし、被験体となった昆虫の凶暴・巨大化という予期せぬ結果を招いてしまった。

製薬会社のバイオハザードと思われた事件の背後には、生物兵器を作り、実験しようとする国家的陰謀があった。しかし、陰謀の主体が卑称である。昆虫の凶暴・巨大化を制御できておらず、いたずらに被害を拡大させ、最終的には外国の介入を招いてしまう。何をやりたかったのか理解できない。
http://www.hayariki.net/7/48.htm
このような卑称な陰謀で殺された人々は浮かばれない。この卑小さは日本のエリートの属性としてリアリティがある。有効な対処をせず、情報隠しだけは徹底する。この無責任さは福島第一原発事故対応に重なる。昆虫以上に日本という体制に嫌悪感と絶望感を覚える作品である。(林田力)

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