2012年12月12日水曜日

さいとう・たかを『ゴルゴ13 167』

さいとう・たかを『ゴルゴ13 167』は「ボリバル�世暗殺計画」「燃える氷魂」「人形の家」の3編を収録する。『ゴルゴ13』は1968年から連載を続けている長寿劇画で、ゴルゴはスナイパーの代名詞になっているほど有名な存在である(林田力「『ゴルゴ13』第160巻、デューク東郷の両親の謎」リアルライブ2011年4月8日)。

表題作の「ボリバル�世暗殺計画」と最後の「人形の家」は南米ベネズエラを舞台としたものである。反米政権とアメリカ合衆国の対立を背景にする。「燃える氷魂」は資源をめぐる日本と中国の紛争が背景にある。

『ゴルゴ13 167』の3編とも対立する政府の全面対決という話ではない。国家間の対立を背景とした周辺のトラブルである。それだけネタになる火種は転がっているということである。日本の対立相手は中国である。全面的な対立ではなく、水面下の暗闘である。食い詰めた弁護士や行政書士が中国人の在留資格更新などを請け負っている現実を知っている身にはリアリティがある。「自衛官の外人妻が800人を超え、しかも、その約8割が中国出身」という実態を懸念する声もある(高井三郎「自衛官の外人妻は優に800人」安全保障と危機管理20巻、2012年、54頁)。
http://hayariki.net/3/43.htm
この「燃える氷魂」は被害者が殺される後味の悪さが残る話で、表題作とならないことは仕方がないが、それだけ日本と中国の対立の根深さを物語る。悪役である中国側の残虐さを描き、日本人にとっては最も印象が残る。

物語の見せ場であるゴルゴの神業の射撃も振動周期という理論が下敷きとなっている。耐震建築の超高層マンションも固有の周期と重なる揺れには脆い。東日本大震災で超高層マンションの怖さは体験済みである。これも日本人にとって見過ごせないテーマである。(林田力)

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