2012年10月9日火曜日

天王寺大『白竜LEGEND 24』

天王寺大原作、渡辺みちお画『白竜LEGEND 24』は経済誌記者が白竜に密着取材する。その中でベンチャー企業経営者の闇に迫る。職場イジメやパワハラ、退職強要が社会問題になっている中でタイムリーな話題である。今の日本では法律事務所にさえパワハラが内部告発され、退職者の会が結成されるほどである。

オムニバス的に話が展開する『白竜』であるが、筋運びに円熟味が増している。企業の不正につけこみ、新たなシノギの種にするという常道を崩すことで、新鮮味を与えた。女性記者を視点人物とすることで、白竜と経営者の人物を比較する。すっかりギャグ担当が板についた剛野組長をオチに持ってくることで、笑いもとっている。

白竜はヤクザであり、不法なシノギで利益を上げており、正義の立場ではない。しかし、結果的に社会悪を滅ぼすために勧善懲悪的なカタルシスがある(林田力「『白竜LEGEND』第16巻、 医療過誤追及でカタルシス」リアルライブ2011年2月12日)。その複雑な性質を象徴するものがドラッグ禁止の徹底である。白竜は任侠精神を体現している訳ではないが、ドラッグ禁止によって何でもありの悪人とは区別される。ドラッグ利用者を叩き潰すシーンは一般論として正義ではないとしても、爽快である。
http://hayariki.net/7/28.htm
翻って現代日本では脱法ハーブ(合法ハーブ)が社会問題になっている。東京都議会は平成24年第2回定例会で脱法ドラッグ対策強化を要請する意見書を全会一致で可決した。『白竜』は暴力団員による東急電鉄株買い占めなど時事ネタを取り上げてきた(林田力「『白竜LEGEND』第19巻、愚連隊は敵役としても力不足」リアルライブ2011年10月27日)。脱法ハーブ売人との戦いにも期待したい。

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