2012年10月15日月曜日

島袋光年『トリコ 21』v 林田力 wiki書評

島袋光年『トリコ 21』は食林寺での修行が中心である。第181話「食林寺」から第189話「食義を極めし者」までを収録する。トリコと小松は美食人間国宝の一人である珍鎮々に出会う。彼こそは食の奥義を極める食林寺の師範であった。二人は珍鎮々の下で食林寺に代々伝わる寺宝・シャボンフルーツをゲットするために食義の修業を開始する。

修行と言っても、バトル漫画の一般的な修行と比べると異色である。この修行では礼儀正しさと感謝の念が求められる。現代日本ではマナー違反を指摘されても「ルールなんか存在しない」と開き直る恥ずかしい輩もいる。その中で礼儀正しさに価値を置くことは意義がある。
http://www.hayariki.net/7/43.htm
食べ物、さらには生命への感謝の念はグルメ漫画の根本的な価値である。グルメ作品が陥りがちな罠として、美食を追求するあまり、美食の基準を満たさない食材を大量に廃棄する傾向がある。食物を粗末にすることにつながる。それでは美食を求める資格はない。それは差別につながる。その種の人々は往々にして怪しげな食品をベクレルフリーと称して販売する悪徳商法に引っ掛かることになる。

トリコでは少年漫画の王道であるバトルや冒険にグルメという軸を別に設けることで物語に深みを増している(林田力「『トリコ』第12巻、グルメとバトルの二本立て」リアルライブ2011年1月7日)。そのグルメも全ての食材への感謝の念を描くことでグルメ作品として大切な哲学を示した。

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