2012年9月8日土曜日

坂口恭平『TOKYO 0円ハウス0円生活』

坂口恭平『TOKYO 0円ハウス0円生活』(大和書房、2008年)は隅田川沿いに住む路上生活者(ホームレス)が生活するブルーシートハウスのルポタージュである。著者は早稲田大学理工学部建築学科卒業の経歴を持つが、在学中から路上生活者の家に興味を持ち、建築物としての視点から研究している。スクラップアンドビルドの現代のライフスタイルを問いかけ、故郷の熊本につくった「ゼロセンター」で新しい生き方を模索する「建てない」建築家である。
『TOKYO 0円ハウス0円生活』に登場する路上生活者はホームレスという言葉から勝手に抱く悲惨さはない。中村光の漫画『荒川アンダー ザ ブリッジ』ではホームレスの常識外れた豊かな文化を描いている(林田力「『荒川アンダー ザ ブリッジ』第12巻、ホームレスの独自文化」リアルライブ2011年7月29日)。現実のホームレス文化も豊かである。むしろ、河川敷などからホームレスを排除する行政や、それを無言で後押しする市民の無関心がホームレスを悲惨な境遇に陥らせている。
『TOKYO 0円ハウス0円生活』で紹介されるブルーシートハウスは合理的であり、快適そうである。ブルーシートハウスから理想の家を探求する著者のアプローチは説得力がある。それは現代日本の商業ベースの住宅の貧困の裏返しである。分譲では不利益事実を隠したマンションだまし売りがある(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。賃貸では貧困ビジネスのゼロゼロ物件や追い出し屋の問題を抱える。日本の住宅政策は営利企業による住宅供給に多くを負ってきたが、資本主義とは離れて住宅を考えることが住まいの貧困の解決になる。
https://sites.google.com/site/hayariki9/

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