2012年9月14日金曜日

路地状敷地の重層長屋

路地状敷地の重層長屋が建築紛争のホットトピックとなっている。重層長屋問題はマンションやアパートを建設できない土地に事実上マンションやアパートと同じものを建設しようとする脱法の問題である。脱法ハーブを合法ハーブとして販売することと同じメンタリティである。形式的に法律を満たしているということで思考停止せず、実質的な観点から不当なものを不当と主張し、それが通るようになったことは日本の市民社会の成熟を示す。
一方で重層長屋の近隣住民には申し訳ないが、重層長屋が建築不動産紛争の中心的な問題になること自体には好ましい面もある。
デベロッパーが好景気の時代ならば、デベロッパーが路地状敷地を入手したならば路地状敷地を単独で開発しようとせず、一区画丸ごと地上げして巨大マンションを建設しようとしただろう。そこでは地上げが社会問題になった。開発業者は等価交換や区画整理・再開発という形で合法的に周辺住民の土地を収奪してきた。実際、二子玉川ライズでは駅前の個人商店は追い出され、駅前の再開発ビルは二子玉川ライズ・ショッピングセンターなど東急の商業施設になっている。

二子玉川ライズを進める東急電鉄や東急不動産は大型開発に固執する時代遅れの開発業者である(林田力『二子玉川ライズ反対運動』)。その一方で一区画丸ごと地上げして高層マンションを建設する事業が成り立たないと考える業者が増えていることは歓迎できる。東急不動産だまし売り裁判で東急不動産のために働いた地上げブローカーから攻撃された立場として地上げのメリットが乏しい経済環境になったことを素直に喜びたい(林田力『東急不動産だまし売り裁判こうして勝った』)。
やはり被害者には申し訳ないが、建築紛争の中で重層長屋がクローズアップされることに懸念もある。重層長屋への大きな批判理由は災害時の危険性である。木造密集地域が危険であり、公開空地を備えた高層マンションや広い道路が災害に強いという開発を正当化するドグマに悪用される危険である。このドグマによって日本全国各地でコミュニティが破壊され、生活が破壊された。再開発に巻き込まれたために命を縮めたとしか考えられない人々も少なくない。
重層長屋問題の発火点となった世田谷区では二子玉川ライズのような大型開発による住環境破壊も起きている。むしろ二子玉川ライズなどの大型開発への問題意識が高かったからこそ、重層長屋問題も直接の当事者を越えた幅広い運動になった。中小業者のミニ開発には物申すが、東急電鉄や東急不動産のような大企業の大型開発には沈黙するでは寂しい。開発問題への広がりを期待する。林田力
http://hayariki.net/

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