2012年8月22日水曜日

オクシタニアv林田力Wikiレビュー

佐藤賢一『オクシタニア』は中世フランスのアルビジョワ十字軍を描く歴史小説である。フランスは中央集権化した国民国家であるが、中世のオクシタニアは名目上、フランス王国に属していても、実質的には独立国であった。文化も言葉も差異があった。『オクシタニア』ではオック語を関西弁で表現することでイメージを出している。
序盤はアルビジョワ十字軍の総大将、シモンドモンフォールが主人公である。英国議会政治の礎となったシモンドモンフォールの父である。
シモンは信仰心の篤い勇敢な十字軍騎士として知られるが、小説では揺れ動く心情が描かれる。そのシモンがオクシタニアの実態を知り、強靭な騎士として成長する様子が見所である。オクシタニアから見ればシモンは侵略者であるが、離合集散を繰り返すオクシタニア人の無定見さがシモンをして侵略を正当化させる。一方で家族には昔の頼りない父が良かったと思われており、複雑である。
中盤はトロサ市民エドモンが主人公である。異端の広がりの背景にはカトリック教会の腐敗があったが、カタリ派の教えにも問題があることが浮き彫りになる。後半は侵略される側のトロサ伯ラモン7世が主人公である。
林田力
http://hayariki.net/

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