2012年7月23日月曜日

この声が届く先v林田力Wiki記者レビュー

『この声が届く先』は私立探偵を主人公としたシリーズ物の一作である。冒頭から主人公ビル・スミスはピンチに陥る。相棒のリディア・チンを誘拐したと電話で告げられた。犯人が自分に恨みを抱いていることは分かるが、逆恨みされる可能性は複数存在し、犯人の正体を特定できない。これは林田力にも思い当たる。林田力もインターネットで誹謗中傷を受けたが、最初は犯人を見極められなかった。最終的に犯人は宅建業法違反を告発したゼロゼロ物件業者であると判明し、ゼロゼロ物件業者の批判を続けることでゼロゼロ物件業者は廃業した。主人公が犯人の正体に気付いた際に「どうして、いままでわからなかったのだろう。思い当たらなかったのが不思議なくらいだ」と振り返る。136頁。これも林田力も同じであった。
中国系アメリカ人が重要な役回りをする。多民族国家アメリカの実情を反映している。主人公らはGoogleマップやストリートビューを使用して手がかりを得ようとする。30頁。現代的な事情が反映されている。日本の土地共有持分等確認の裁判でも、ストリートビューで取得した被告宅の写真が証拠として提出された。
犯人は十分に嫌悪感を抱かせる人物である。犯人と関係した登場人物は犯人に殺意を覚えるが、それが十分に納得できる描かれ方である。犯人の身勝手さを示す口癖に「相手に合わせたって損はない」というものがある。犯人が身勝手な暴言を吐く。その暴言を向けられた人物は当然のことながら腹を立て、態度を硬化させる。それに対して犯人は上記の口癖を出す。自分に合わせろという身勝手なエゴイズムである。
犯人ほどの人格異常者は現実社会では稀である。逆に大勢いたら大変である。しかし、犯人的な要素は日常でも接することはある。たとえば相手を不快にさせるような乱暴な発言をしておきながら、「興奮して言葉が乱暴になっていますが」とフォローしたつもりになっている輩である。自分の興奮状態を汲み取って、表面的な言葉遣いから態度を硬化させるなという身勝手な要求である。現実離れした異常者を描きながらもリアリティーを失わない背景は、その片鱗を現実の不快な人物に重ね合わせることができる点にある。林田力
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