2012年7月22日日曜日

『講義 民事訴訟法』v 林田力 wiki記者レビュー

吉村徳重、谷口安平、竹下守夫『講義 民事訴訟法』(青林書院、2001年)は大学における民事訴訟法の講義用の標準的教科書と位置付けられている。教科書としての位置付けであるために一般的な考え方の紹介が中心になるが、訴訟上の和解について興味深い記述があった。

和解の勧試の進め方を以下のように記載する。「交互面接方式ではなく、両当事者対席のもとで行われるべきである。当事者に相互の陳述内容と和解案についての情報と理解を共有させ、裁判所の片面的心証形成防止をはかり、手続保障の理念をいかすためである。」(307頁)

実務では交互面接方式が主流になっている中で貴重な指摘である。東急不動産だまし売り裁判でも最終的に東急不動産の拒否で決裂した和解協議は交互面接方式であった(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』「予定調和の協議決裂」)。

交互面接方式でも話し合いの前提が明確で、方向性が共有できていれば問題ない。東急不動産だまし売り裁判の和解協議が早期に決裂し、無意味な和解期日を費やさずに済んだ理由も、前提に合意できないことを両当事者が共有していたことが一因である。

しかし、一般的に交互面接方式の和解協議は評判が悪い。それは正に「手続保障の理念」がいかされていないためである。表向き「和解で終わらせた方が互いにとってプラスになる」と言っても、判決を書きたくないという自らの怠惰から和解が勧められることもある。そのために何が何でも権利主張を諦めさせるような当事者無視の和解手続きも皆無ではない(林田力『二子玉川ライズ反対運動2』93頁)。

密室の書記官室で裁判官が「この裁判は負けですから、和解に応じなさい」という類の和解の脅迫や強要の話もある。医療過誤訴訟の被害者が裁判官から和解を強要されて焼身自殺した事件もある。まさか裁判官が「終わりよければ全てよし」というナイーブな考えは抱いていないと思うが、和解協議では適正手続きが軽視されがちである。それは当事者にとっては大きな不満の種になる。

和解協議についても「手続保障の理念」を持ち出す『講義 民事訴訟法』は慧眼である。和解協議は両当事者対席のもとで公正に進めるべきである。
http://yaplog.jp/hayariki/archive/649
林田力 東急不動産だまし売り裁判
http://hayariki.bravesites.com/
林田力 東急不動産だまし売り裁判
http://matome.naver.jp/odai/2134244787536307301

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