2012年6月29日金曜日

平野耕太『ドリフターズ』v 林田力 wiki記者レビュー

平野耕太『ドリフターズ』(少年画報社、ヤングキングコミックス)はタイトルだけでは何の漫画か想像できない作品である。本書のドリフターズとは異世界からの漂流物・漂流者のことである。関ヶ原の合戦で孤軍奮闘した島津豊久はエルフなどのすむ異世界に漂流させられる。その世界には織田信長や那須与一も漂流していた。

『ドリフターズ 1巻』では未だ豊久と出会っていないが、古代カルタゴの名将ハンニバルやローマのスキピオも漂流者である。敵方の「廃棄物」にもジャンヌ・ダルクやラスプーチンとそうそうたる顔ぶれで、歴史上の人物のオールスター戦という想像力をかきたてる物語になっている。

『ドリフターズ 2巻』は前半がエルフの反乱、後半が廃棄物との戦いである。織田信長には自分で全てを決めなければ気が済まない独裁者というイメージがある。これに対して『ドリフターズ』では黒幕として裏から操ることを好むという意外な一面を描く。実際、信長は軍団長制という有力家臣に軍団の指揮を委ねる当時としては画期的な制度を採用した。また、早々と家督を嫡男・信忠に譲っている。信長の一面を鋭く突いている。
http://hayariki.net/5/63.htm
エルフの反乱では暴虐の限りを尽くした支配者の人間達への怒りが爆発する。それでも暴行に荷担しなかった人間を殺すことはしなかった。ここに物語としての倫理観がある。正義と悪の側を区別する筋がある。

これは「復讐は倍返しが基本」と呟く陰険で卑怯な人間とは雲泥の差である。マンションだまし売りの東急リバブル東急不動産や宅建業法違反のゼロゼロ物件業者とも大違いである(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。

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