2012年5月27日日曜日

報道の脳死:書評

マスメディアは権力の手先という陰謀論的な見方がある。これに対して『報道の脳死』の分析は、もっと絶望的である。主体的に権力の手先になっているというよりも、無能や怠惰によって権力の手先として機能している姿が浮かび上がる。ネット上では悪の枢軸であるかのようにマスメディアを憎む声があるが、実際は全力を傾けて憎むほどの価値もない卑小な存在である。それでもマスメディアが一定の社会的な影響力を持っていることは事実であり、問題は批判しなければならない。ここに絶望がある。叩くべき敵は強大であって欲しいものである。敵ながら天晴れというべき点があって欲しいと思いたい。その願望が強まって事実を曲げると陰謀論がたくましくなり、敵勢力が妄想される。
本書の計画停電への批判は鋭い。当初は輪番停電と呼ばれていたが、いつの間にか使われなくなったという言葉の変遷にも注目する。実際、都心部が停電しないなど輪番ではなかった。しかも、区部でもない武蔵野市が政令指定都市を差し置いて停電対象から外れるなど、不公平なものであった。林田力

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