2012年5月30日水曜日

アソシエイト下巻

アソシエイトはジョン・グリシャムのリーガルサスペンスである。下巻でも弁護士報酬のデタラメぶりが描かれる。過大請求、水増し請求、無関係な飲食費まで依頼人に請求する。悪徳リフォーム業者も真っ青である。サスペンスそのものよりもハイエナ法律事務所の腐敗ぶりが印象に残る。
コスト意識のある企業がデタラメな弁護士報酬を法律事務所の請求通りに支払うことが不思議であるが、そのカラクリも解説される。法務セクションは出費を切り詰めることではなく、確保した予算を使いきることにモチベーションが働くという官僚的体質になっているためである。弁護士報酬を精査することがハイエナ弁護士撲滅の道である。
主人公は過去の乱行を隠蔽しようとする点で道徳的に評価できないが、弁護士倫理を守ろうとする一点で主人公たりえた。しかし、下巻では弁護士倫理遵守精神が独り善がりなものであることが顕になる。持ち出した情報に価値がない、依頼人に実害がないということは、窃盗であるか、守秘義務違反であるかという論点とは関係ない。依頼人や社会の視点が欠けている。ここにモンスター弁護士の萌芽がある。他者性を持たず、独り善がりな視点で倫理を守っていると盲信する存在は厄介である。林田力

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