2012年5月23日水曜日

太陽光発電の落とし穴

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は5月17日、日本国内の住宅用太陽光発電システムの設置件数が2012年4月末までに100万件を突破したことを発表した。福島第一原発事故によって自然エネルギーへの転換が大きく注目されている。その中でも身近で分かりやすい太陽光発電は取り組みやすい。それを裏付ける発表になったが、普及によって太陽光発電の問題も表面化しており、無条件で絶賛できない。

第一に発電環境の不安定さである。もともと太陽光発電は夜間や曇天では発電できないという不安定さを抱えているが、特に都市部では隣接地に超高層マンションが建設されて日陰になり、太陽光発電の投資が無駄になるリスクを抱えている(林田力「経済損失としての日照権侵害」PJニュース2010年4月12日)。

http://www.pjnews.net/news/794/20100411_2

それならば休耕地などの無人地帯が適しているかと言えば、電力消費地と離れた場所では太陽光発電のメリットが減少する。もともと不安定な太陽光発電のアドバンテージは電力消費地で発電できることにあった。

第二に太陽光発電装置のもたらす害である。太陽光を反射する太陽光パネルは近隣住民にとって光害にもなる。隣家の太陽光パネルの光害が受忍限度を超えるとして、横浜市内の住民が隣地の戸建て住宅の建て主と住宅会社を訴えた裁判も起きた。横浜地方裁判所は4月18日に屋根から太陽光発電パネルを撤去し、住民2人に計22万円を損害賠償として支払うよう命じた。

太陽光発電パネルの設置によって屋根が傷み、雨漏りの原因になる事例もある。また、2011年には中部地方の太陽光パネル付きで販売した分譲戸建て住宅で太陽光発電パネルからの落雪によって、自動車のワイパーと郵便受けが破損する事故も起きている。

第三に太陽光発電ビジネスのいかがわしさである。過去に太陽熱温水器を販売する朝日ソーラーは強引なセールスで社会問題になった。第二の太陽光発電装置のもたらす害については太陽光発電そのものではなく、欠陥施工の問題との反論が考えられる。まさに欠陥施工の問題であるが故に太陽光発電ブームに便乗して悪質リフォーム業者による粗悪な太陽光発電設置ビジネスが懸念される。伝統的に環境問題は悪徳業者の飯の種であった。詐欺をテーマにした漫画『クロサギ』には「ECO詐欺」という言葉も登場する。

より大きな視点に立っても太陽光発電ビジネスはいかがわしい。7月1日開始の固定価格買取制度によって太陽光発電の普及促進が予測されるが、これは電力料金の値上げに転嫁される。製造した分は決まった価格で買い取られるのであるから、ビジネスとして見れば虫のいい話である。しかも、価格は公的に定められるため、自然エネルギー促進派の政治力で左右される危険がある。
http://hayariki.net/3/55.htm
現実に自然エネルギー促進派からは「自然エネルギーの普及促進になる価格を設定するべき」と主張される。純粋に自然エネルギー促進の政策論として議論しているならば一つの見解であるが、自然エネルギーで金儲けしようとする人間が主張するならば我田引水になる。福島原発事故直後に孫正義が自然エネルギーを打ち出したものの、政商としてバッシングされた。買い取りを前提とするビジネスモデルである限り、政商批判は燻り続ける。

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