2012年5月30日水曜日

大河ドラマ『平清盛』第21回「保元の乱」

大河ドラマ『平清盛』は歴史ファンから久しぶりの骨太歴史劇として評価が高い一方で、視聴率は振るわない。このギャップはドラマの面白さに清盛が入ってこないことである。それは第21回「保元の乱」にも表れている。

ホームドラマ太河ではナレーションで済まされることの多かった合戦シーンであるが、「保元の乱」ではリアルに描く。一方で個人が名乗りを上げて一騎打ちをする当時の牧歌的な合戦をリアルに描き過ぎて、一般受けするかは微妙である。

保元の乱では両陣営で武士が夜討ちを進言する。この進言を悪左府・藤原頼長(山本耕史)は退け、信西(阿部サダヲ)は採用した。これが勝敗の決め手となった。ドラマでは頼長と信西が同じ孫子の一節を引用しながらも反対の解釈を導き出す。古典的素養のある歴史ファンには味な演出であるが、問題は主人公の出る幕がないことである。折角、白河院の落胤と設定したならば貴族的な素養を与えた方がドラマの面白さに噛み合った。

保元の乱は武士の力を見せつけた戦争であった。それは武士の進言を採用した後白河天皇方は勝利し、武士の進言を貴族的な発想で却下した崇徳上皇方は敗北したという結末が示している。ところが、ドラマでは武士の進言よりも、それを採否する信西と頼長がクローズアップされる。ドラマの味な演出の中に主人公が入っていない点がドラマ低迷の要因ではないか。

キャラクターとしては信西の独壇場である。澄んだ瞳で腹黒さを見せる。対照的に非常時でもオウムの入った籠を手放さずに逃げ回る頼長も印象的である。もはや山本耕史は悪左府のイメージが付いて回り、鬼の副長・土方歳三のような役を演じられないのではないかと思わせるほど演じきった。脇役が濃厚で清盛の時代は先になりそうである。(林田力)
http://www.hayariki.net/6/16.htm

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