2012年5月3日木曜日

証拠提出権

証拠提出権(証明権)は裁判を受ける権利(日本国憲法第32条)の一内容であり、証拠における当事者権に含まれるものである。それが保障されるためには裁判官の証拠決定の合理性が保障されなければならない。

要証事実の証明に不可欠な証拠の採用申し立てを却下することや、この種の証拠提出を釈明で促すことを懈怠した場合は証拠提出権の侵害になる。これは法令違背として上告理由にもなる(石川明「証拠に関する当事者権 証拠へのアクセス」『講座民事訴訟5』5頁)。

また、要証事実の証明に不可欠な証拠を調べなかった結果、審理不尽になり、それによって結論に影響を及ぼす法令違反が生じる(最高裁平成20年11月7日判決・判例時報2031号14頁)。

証拠の申請が反証である場合には、仮に裁判所の既成の心証が既に核心に達していたとしても証拠調べをしなければならない(中務俊昌「『唯一の証拠方法』と民事訴訟における証拠調の範囲」法学論叢60巻1・2号216頁)。他の証拠を取り調べないまま、既成の心証は覆るはずがないと考えることは予断(証拠価値の先取り)であって、重大な手続き上の瑕疵になる。
http://hayariki.zero-yen.com/hayariki3.htm#27
唯一の証拠方法の却下は違法である(大審院判決明治28年7月5日民録1−57、大審院判決明治29年11月20日民録2−112、大審院判決明治31年2月24日民録4−48、最高裁判決昭和53年3月23日判例時報885号118頁)。唯一の証拠方法はある争点に関し、唯一申し出られた証拠のことである。裁判所は証拠申出に応じて証拠調べを実際に行うかどうか判断するが、唯一の証拠方法を却下し、証拠調べをせずに 弁論の全趣旨のみを証拠資料として判断を下すことは認められない。
http://yaplog.jp/hayariki/archive/622

鑑定や検証を「唯一の証拠方法の却下は違法」の例外とした例がある。しかし、「当該証拠が事実認定を覆す決定的な証拠となる場合もありうるのであり、一概に調べなくてもよいということにはならない。」(民事訴訟法研究会「民集未搭載最高裁民訴事例研究28」法学研究84巻11号77頁)

0 件のコメント:

コメントを投稿