2012年5月1日火曜日

兵馬の旗3巻

兵馬の旗3巻は江戸無血開城に向けての交渉と明治新政府の汚点である偽官軍事件が中心である。「兵馬の旗」は現代人的な感性がある架空の人物の姿をイキイキと描くことで、描かれ尽くされた感のある幕末物に新たな視点を提示した。しかし、第3巻は勝海舟や西郷隆盛という有名人が中心となり、独創性が乏しくなった。主人公の存在意義は人命救助であるが、あまりに優等生的である。
偽官軍事件に対して相良総三を救おうとする展開は面白い。欧米列強に屈服した神戸事件と重ねることで明治新政府の無責任さを強調する視点も優れている。しかし、物語自体は史実通りの救いのない展開である。黙して語らずの相良総三を都合よく解釈して貴い犠牲と美化する体制側の卑劣な論理が展開される。
歴史をなぞる作品になるのか、現代人的感性で幕末を再構築するのか、物語は分岐点にある。林田力
http://hayariki.net/

0 件のコメント:

コメントを投稿