2012年4月30日月曜日

今から、君が社長をしなさい。

「今から、君が社長をしなさい。」は、社長になったと想定して課題を解決するインバスケットというゲームを行うビジネス書である。社長の仕事というものは一般にはなじみなく、社長に縁のない多くの人にとって具体的に考えにくいものである。それ故にインバスケットは有効である。
社長の仕事となるとビジネス戦略の立案というような大きな仕事を思い浮かべるが、本書で最初に登場した案件は、社長が信号無視していたという告発めいた書き込みである。これによって社長が細かなところにも注意しなければならない存在であると気付かされる。
危機管理についての案件もある。異物混入が放置されていたとの問題である。実際にも食品の回収騒ぎは多い。専務からは回収すると費用が大きくなるために、クレームが発生した時点で個別に対応すればいいとの提案がなされた。これは悪い例として提示されたものであるが、既に複数の顧客から異物混入のクレームを受けている段階で、このような提案がなされることに呆れた。企業の常識は市民の常識から乖離している。
本書では個性の異なる四人の登場人物が回答に取り組む。その中の大友という人物は「従業員は社長に従え」という古い考えの持ち主で、ダメ回答を連発する役回りである。しかし、異物混入の案件では「以前に分かっていたことをいまになって報告するのか」と激怒する。そして「広告を打ってでも全て回収しろ」と指示する。他の回答者が主力商品の回収に及び腰の中で思い切った支持である。この一点では大友に魅力を感じた。多面的に人間を評価することが大切である。
この問題について、「本当の優良企業は、テレビCMなどで良いイメージを上塗りしている企業ではなく、このような不祥事やトラブルが発生したときに適切かつ迅速に対応できる企業なのです」とまとめられている。134頁。このCMと対比した説明は的を射ている。
林田力は東急リバブル東急不動産から不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りされた。だまし売りの発覚後の東急の対応も不誠実であったため、裁判で売買代金を取り戻した。その当時、東急は自社の誠実さをアピールするCMを流しており、その虚飾ぶりに怒りを強めたことを覚えている。
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