2012年3月18日日曜日

美味しんぼで東日本大震災特集

「美味しんぼ」最新刊は東日本大震災の被災地を回る「めげない人々」である。生産者との結び付きを大切にする「美味しんぼ」らしい企画であるが、「めげない人々」というサブタイトルは頑張ることを強制する特殊日本的な精神論と重なる。あれだけの大きな災害の後である。めげることが自然である。「頑張れ」ではなく、「休んでください」が優しさである。
尖った社会批判が魅力の「美味しんぼ」だけに、社会の空気と合致したガンバリズム礼賛は物足りない。被災地の現状は個人の頑張りで解決する問題ではない。除染や漁業特区など復興を名目にした利権も動いており、各自が頑張ろうでは済まない問題である。
「美味しんぼ」の批判精神の浅さはパソコンの議論でも見られた。過去に「美味しんぼ」ではウィンドウズを扱き下ろし、Macintoshを持ち上げた。確かにウィンドウズの寡占への反感はある。しかし、オープンの世界でデファクトスタンダードを打ち立てたマイクロソフトよりも、ハードからソフトまで自社で囲い込むアップルの方が消費者に開かれていると考えることは幻想である。現実にアップルは下請け工場での労働者搾取が告発され、企業体質が批判されている。「美味しんぼ」が持ち上げたくなるような企業とは実像が乖離している。この巻では福島第一原発事故の放射能汚染に強く触れないなど遠慮が感じられるが、「美味しんぼ」には骨太の社会批判を期待したい。林田力
http://hayariki.net/

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