2012年3月10日土曜日

無頼伝 涯』独裁権力に対する市民運動家の勇気と重なる

福本伸行『無頼伝 涯』は『週刊少年マガジン』に連載されていた漫画である。冤罪に陥れられた少年・工藤涯の自らの無実の証明と人権無視の更生施設「人間学園」からの脱獄するための闘いを描く。ラストの囚人達への犯行の呼びかけは、独裁権力に対する市民運動家の勇気と重なる。

人間を犬扱いする人間学園の狂気は福本作品ならではの想像力を発揮している。読者がトラウマになるような設定である。『週刊少年マガジン』連載時は人気が出ずに打ち切りとなった作品であるが、このような作品が少年誌に連載されたこと自体がチャレンジャブルである。

作者は『賭博黙示録カイジ』のようにギャンブルや駆け引きを得意とするが、この作品は冤罪を晴らし、社会悪と対決し、自由を獲得するストレートな結末となった。悪人はどこまでも悪人という明快さがある。これは林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』と同じである。表面的に社会派を気取るならば悪人側にも事情があるというようなことを書きたくなるが、そのような甘さでは社会悪を描けないことも事実である。
http://hayariki.net/manga.htm#8

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