2012年3月22日木曜日

エンジェルハート第3巻

エンジェルハート・セカンドシーズンの第3巻である。ハードボイルドなアクションは乏しく、人情色が濃厚である。前半は香に化けたカメレオンの話の続きである。コメディ回と思いきや人情味ある話にまとめた。新宿の住民の香の命日のしのび方がユニークである。日本には嫌な過去を忘れて前を見て生きることを是とする非歴史的な傾向が根強い。その種の前向き圧力が苦しむ人々をますます苦しめ、日本を生きづらい社会にする大きな要因である。これに対して、新宿の住民達は香を決して忘れることなく、楽しく生きている。過去を振り返らないことが、前向きで未来志向という特殊日本的精神論へのアンチテーゼになっている。
この巻で明らかになった香の好きな場所も趣がある。高層ビル街の新宿らしからぬ木々で覆われた小路である。これも二子玉川ライズのような高層ビル主体のバブル経済的再開発へのアンチテーゼになる。
東急不動産だまし売り裁判で不動産会社と戦い、マンション建設反対運動に共感する身には嬉しくなる。エンジェルハートは過去に地上げ屋との戦いも描いており、同じく地上げ屋に苦しめられてきた東急不動産だまし売り被害者と波長が合っている。
前半では香と接点のあった人々の暖かさを描いたが、後半は街の闇を描く。ほのぼのしたコメディ調から人情話になり、急転直下して悲劇になる。話運びは見事である。林田力
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