2012年3月14日水曜日

二子玉川ライズ住民訴訟会見

東京高裁に係属中の二子玉川ライズ住民訴訟が3月13日の口頭弁論で和解的解決で終結した。住民訴訟が和解的な解決で決着することは極めて異例である。住民と行政が話し合える関係に入れたことが今回の解決の背景にあり、その成果が今後は注目される。
口頭弁論では最初に住民側から陳述がなされた。続いて世田谷区長側から陳述がなされた。これを受けて住民側から訴えの取り下げが提起され、世田谷区長側が取り下げに同意した。さらに住民から意見陳述がなされた。最後に裁判所から、紛争を予防・解決し、街の発展のために双方が努力することを期待するとの発言がなされた。
形式的には住民側の訴えの取り下げによる終結であるが、裁判所の働きかけを受け、世田谷区長側から住民参加などの発言を引き出した上でのものであり、和解的解決と評価できるものである。もともと住民訴訟は私権の回復を求める通常の民事訴訟とは異なる。行政に再開発の問題点や住民参加の必要性を認めさせたことは住民運動にとっては勝利と評してよい。
一方で住民側と世田谷区長側には依然としてギャップがあることも否めない。
第一に風害など二子玉川ライズの被害について、住民側は世田谷区が主体的に解決すべき街づくりの問題と位置付ける。これに対して世田谷区は一義的には事業者の問題で、自らは事業者に解決を働きかける存在としている。再開発組合には行政任せの無責任な姿勢があり、住民にとっては、たらい回しの無責任体制になりかねない。
第二に公共性についてである。二子玉川ライズは分譲マンションや賃貸オフィス、ショッピングセンターと公共性と無縁な営利目的の再開発である。そこに膨大な税金が投入されることへの批判も強い。これに対して世田谷区長側は図書館などの公共スペース拡大に言及する。しかし、住民側は低層住宅地や公園予定地の都市計画を開発目的のために変更し、超高層ビルを建設できるようにしたことを公共性に反する街づくりと主張する。超高層ビルに公共施設が入ったとしても、住民の問題意識の回答にはならない。税金の使い方の観点では公共施設が再開発ビルを賃貸することは税金の無駄遣い、税金による再開発の尻拭いになる。
二子玉川ライズ住民訴訟は判決によらない解決をしただけでも異例であるが、内容にも注目すべき点がある。
第一に裁判官が最後に今後の両当事者の努力に期待する発言をしたことである。裁判の終結で終わりでないことを宣言している。住民訴訟でこそ和解は珍しいが、反対に民事訴訟で裁判所は和解に熱心である。そこには当事者の利益よりも、上訴させずに紛争を現在の裁判限りで終わらせてしまおうという発想がある。これは判決を書きたくないとか仕事を少なくしたいという怠け者の公務員根性があるが、法学の世界では紛争の一回的解決や訴訟経済なる用語でもっともらしく正当化されている。重要なことは表向き「和解で終わらせた方が互いにとっていいですよ」と言ったところで、当事者の利益以外の動機で和解が勧められることである。そのために当事者を脅迫するような形で説得し、何が何でも権利主張を諦めさせるような当事者無視の進め方も横行している。これに対し、二子玉川ライズ住民訴訟では裁判所が訴訟後も当事者間での話し合いによる継続的な努力を求めている。さっさと紛争を終わらせてしまおうという悪しき和解推進論とは対極にある。
第二に住民側の陳述と世田谷区長側の陳述を並べて口頭弁論長所に記録したことである。前述のように住民側と世田谷区長側の陳述にはギャップがある。その違いをそのまま認めて記録する。何らかの合意なり妥協を強制するのではなく、ギャップを今後の双方の話し合いの出発点にする。これは二子玉川ライズ反対運動の成熟を示すものである。
自分の考えだけが唯一絶対であり、相違を認めない偏狭な発想は、日本の行政にも市民運動にも見られる悪癖である。往々にして市民運動は権力の独善に苦しめられているが、残念なことに市民運動家の中にも、この種の偏狭さが見られる。その種の人々は最後には同じような人々の僅かな差異を取り上げて攻撃する内ゲバを展開し、破壊しか残らない。権力側にとっては矛先がそれて万々歳となる。
二子玉川ライズ二期事業の取り消し訴訟で中間判決がでる予定。
二子玉川ライズで支出された税金は合計425億円。世田谷区は二子玉川ライズ補助金の圧縮を目指すと表明。
住民訴訟は財務会計行為ということで、再開発の問題を提訴できるか。都市計画における公共性とは何かを追及した。世田谷区民に広く訴える。区議会でも党派を超えて問題意識を高める。
二子玉川ライズオフィスに入るデジタルコンテンツ事業の失敗。補助金行政の弊害を明らかにした。今後も関連する問題が動いている。現地は風害が酷く、危険な街になっている。
原告団次長・志村。二子玉川ライズは六本木ヒルズに比べても、桁外れの補助金が投入されている。スーパー堤防、外環道、デジコン集積という国策開発が重なる。勝手に二子玉川にデジコン産業を集積すると決められた。引き続き、世論や議会に訴える。住民主体の街づくりに変える。原子力村や建築村から脱却する。
今からでも間に合う。代替案を作って提案する。様々な地域の団体と一緒に手をつないで活動する。パブリックコメントでは再開発賛成意見は皆無。環境を破壊する再開発はおかしいという意見が圧倒的であった。新しい一歩を踏み出すことが今日と考えている。
住民参加について。飯岡。既に区長と会って話す。職員も態度が変わっている。質問に答える。住民と行政が話し合うシステムを作った方がいいと課長の方から発言している。風害に苦しむ住民が話し合いをしている。話し合いは既に行われている。
志村。民主主義のあらゆるルートを使って訴える。世田谷区議会で最も議論が集中したテーマは二子玉川である。木下議員は見積もりが杜撰であったとして補助金カットを主張。全会派と懇談して、二子玉川ライズに問題があることにはコンセンサスが得られている。あらゆる民主主義の場で追及する足掛かりができた。簡単ではないが、状況はできている。林田力
http://hayariki.net/

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