2012年2月27日月曜日

贋作に明日はない

「贋作に明日はない」は贋作ミステリーの二作目である。主人公は世界的な贋作者の孫娘で、駆け出しの画家・装飾家である。舞台はサンフランシスコである。芸術の話題が豊富である。話題となる芸術はヨーロッパに特化されているが、登場人物にはアフリカ系やアジア系もおり、人種のサラダボールとしての米国を描いている。
主人公の祖父などは会話にフランス語が入るフランス愛好者であるが、一方で本書ではフランス語を扱き下ろすことも忘れない。
主人公は家賃滞納気味であるが、家主は「この先、家賃支払いの都合がつかないような状況に陥ったら、ちゃんと言ってきてくれ」とまで言う。58頁。僅か一日の滞納で高額な違約金を請求し、追い出し屋に豹変するゼロゼロ物件業者とは大違いである。人情味ある家主の存在によって新たなストーリーが生まれる。現代日本の閉塞感はゼロゼロ物件などの貧困ビジネスが横行する住まいの貧困が大きな要因である。林田力
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