2012年1月7日土曜日

『高層難民』高層マンションは外部不経済

渡辺実『高層難民』(新潮社、2007年)は地震に対する高層ビルの脆弱性を明らかにし、大地震で高層マンション住民が難民化すると警告する書籍である。不動産業者は高層マンションの免震構造をセールスポイントする。しかし、ビルは倒壊を免れても、エレベータ閉じ込めや停電などの問題が発生し、高層マンション住民は高層難民となる。

本書には高層マンション住民が個人レベルで採る生き残り策も書かれているが、根本的な問題として高層マンションが外部不経済であると実感する。東日本大震災でも高層マンション住民が避難所を利用し、避難所を運営する町会から批判の声が出たが、高層難民の発生は社会にとって大きな負担である。災害時に問題になるような高層マンションの建築を規制することが最も効果的な防災対策になる。東京都世田谷区の二子玉川ライズなど住民の反対を無視してまで高層ビルが建設されているが、見直すべきである。

実は東日本大震災で家の中がメチャクチャになったなどの被害を受けた超高層マンションも少なくないとされる。しかし、資産価値が落ちるというプチ・ブル的な理由から中々実態は明らかにならない。高層マンションの問題について多くの情報提供が求められる。(林田力)
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