2012年1月27日金曜日

林田力の証言『東急不動産だまし売り裁判』

原告代理人は全てを知り尽くした人間ならではの雰囲気を漂わせていた。落ち着いた、自信に溢れた姿勢で尋問を続けた。身体にフィットしたスーツ、白髪交じりの頭髪、引き締まった頬。どこからどう見ても完璧であった。
自信溢れた所作、隅々まで通る声、巧みな比喩に明晰な論理運び、切り返しの妙に至るまで弁説は冴え渡っていた。うねる様なリズムで話し、時折、声を落とした。タイミングの取り方は完璧であった。大名題の歌舞伎役者さながらである。「あー」「うー」「あのー」などの戸惑い語は絶対に発しなかった。
原告代理人は、これまで林田力が出会ったどの弁護士にもひけをとらなかった。直観力に恵まれ、弁が立ち、厄介な問題をたちどころに解決できた。法律を事実に当てはめる段になると一瞬にしてしかるべき条文を思い出すことができた。ユーモアのセンスに恵まれ、控えめな魅力に溢れていた。林田力は深い敬意の念を込めて原告代理人を見た。原告代理人の方は林田力の態度を眺めて自信を深めた。
時間の流れは殊のほか速く感じられた。聴衆全員が林田力の証言にすっかり釣り込まれていたからである。空気に塩のような匂いがあるのは汗と興奮の熱気からだろう。一言、一言が雷鳴のように空気を切り裂いた。林田力の証言に少しでも間が生じると、聴衆は身を乗り出してきた。
http://hayariki.net/109/109jinmon.htm

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