2012年1月15日日曜日

バクマン16巻

新妻エイジの天才ぶりが発揮された巻である。当初から主人公のライバル的設定ながら、突き抜けた存在であり、ライバルというよりも導き手のようになっていた。最近は他の漫画家のエピソードが多く、存在が薄くなっていた面は否めない。それが、この巻では天才肌を見せ付けた。
バクマンの魅力の一つは内幕物のリアリティである。主人公達が実在のマンガ雑誌である週刊少年ジャンプで連載し、読者アンケートなどマンガ雑誌の舞台裏が明かされる。
この巻では雑誌の看板となった人気漫画は漫画家の意思では終わらせられないという商業主義的な現実が描かれる。編集部の商業主義によって描きたいものが描けない、不本意ながら描かされているという不満は決して小さな声ではない。漫画家もブログなどで出版社を通さずに自分の意見を伝えることができるようになった。自らが理想とする形で作品を終わらせようとチャレンジする漫画家を描いたことは、ある程度は商業主義への不満の声を代弁することになる。
一方でバクマンも少年ジャンプ編集部に認めらた作品である。編集部の立場も代弁している。本来ならば漫画家と編集部という対立軸になるはずであるが、バクマンでは漫画家同士の対決になっている。そして自分の作品を自分の意思で終わらせようとする漫画家は厳しいハードルを自らに課している。しかも、一旦、編集部に認められた条件を自発的に厳しくしている。現実の漫画家にとっては不可能に近い条件である。それくらいのことをしなければ、漫画家が自分の意思を貫くことは許されないという編集部の姿勢の代弁にも映る。林田力
http://hayariki.net/

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