2011年12月26日月曜日

信長協奏曲1巻

現代の少年が戦国時代にタイムスリップし、織田信長になりかわる漫画である。タイムスリップ物としては異色である。
第一に主人公は飄々としていて、元の時代に戻りたいという意識が乏しい。タイムスリップの意味や現代に戻るためにどうすればいいか悩むこともない。現代を思い出すこともない。
第二にタイムスリップ物におけるタイムスリッパーの最大の強みは未来を知っていることであるが、本書の主人公は歴史知識がない。明智光秀も知らないほどである。
主人公の強みは運動能力や視力である。一般に現代人は文明生活によって身体能力は退化する傾向にあり、本書の設定は異色である。但し、栄養状態の良い現代人の方が身体能力が高いと考えれば、本書はリアリティがある。
第三に結果的に史実に沿っていることである。タイムスリップ物は歴史のイフを楽しむものである。しかし、本書は実際の歴史が史実と異なっており、主人公の言動によって伝えられている史実通りになる。信長は病弱であったが、戦国時代の常識を知らない主人公と入れ替わることで、うつけ者になる。未来人の過去の言動も折り込み済みで歴史となるドラえもん的な世界である。
第2巻は桶狭間の合戦前夜までを描く。木下藤吉郎が腹黒い人間として描かれている点が特徴である。豊臣秀吉の晩年が悪辣な権力亡者であることは多くの人の認めるところであるが、信長の家臣時代は善人に描かれることが多かった。これは秀吉の一生を描く場合に一貫性に欠けるものになる。本書のような秀吉は実態に近いかもしれない。林田力
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