2011年12月4日日曜日

ジーン・ワルツ

海堂尊の小説。医療崩壊の最前線である産婦人科医の問題に迫る。東京を舞台とするが、極北クレイマーでの産婦人科医の逮捕を背景にした広い意味での桜宮サーガの一作である。妊娠についての医学的な説明が多く、軽いミステリーを楽しみたい向きにはハードルが高い。しかし、ラストの禁断の告白には目が離せない。
海堂作品はバチスタ・シリーズの田口公平のように主人公は巻き込まれ型が多い。これに対して本書では主人公自身が変革を志向する人物であることが異色である。また、主人公が変革のための具体的な第一歩を踏み出している。その後の顛末も知りたくなる作品である。
海堂作品は医療が中心であるが、医療以外でも鋭い社会批判を展開する。夢見る黄金地球儀では、街の個性を喪失する再開発を風刺した。本書でも低層建築中心の地方都市の青い空と霞ヶ関の灰色の高層ビルを対比させている。林田力
http://hayariki.net/

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