2011年10月22日土曜日

バクマン15巻

この巻は前巻に引き続き七峰透との対決である。奇しくも週刊少年ジャンプでも七峰透との再戦に決着がつけられたばかりであり、コミックスを読むと最近の連載内容に新たな気付きが生まれる。
七峰は漫画家と担当の二人三脚という現在のマンガ雑誌のあり方を真っ向から否定するシステムで挑む。バクマンの中では七峰は悪役だが、担当が漫画を良くするよりも、漫画家をスポイルさせているとの主張は少なからぬ共感を得られる内容である。
映画化も決まった人気マンガ・進撃の巨人はジャンプ編集部に蹴られた作品である。漫画家が出版社を提訴した裁判も担当への怒りが背景にあった。
バクマンでも担当の趣味で意に添わない漫画を描かされた苦しみを味わっている。その意味で七峰の思想は単なる悪役に留めるには惜しいものがある。一方で他誌以上に漫画家と編集の関係が強固なジャンプにおいて、自己否定するような展開は考えにくい。七峰との対決が自滅という悪役としても恥ずかしい終わり方となったことにジャンプの思想が現れている。
七峰退場後は、アシスタントとして再登場した中井のエピソードでは、かつて主人公と共に切磋琢磨した仲間キャラを、あそこまで救いがたい存在に変貌させる作者の思い切りの良さに脱帽である。ここでは怠惰な漫画家の役回りの平丸が熱さを見せる。
中盤は、あしたのジョーのオマージュになっており、漫画好きにはたまらない。主人公は原稿を何度も編集部に持ち込んでは拒絶されるというプロセスを経ていないために、順風満帆なイメージがある。しかし、その裏には常人にはない努力があることを、あしたのジョーの名台詞を使って描いている。
後半は漫画を模倣した犯罪者の出現による動揺を描く。バクマンの作者コンビは、人気マンガ「デスノート」も手掛けているが、人を殺すノートを主題としたデスノートに対しても教育や道徳的見地から批判された。それを踏まえて読むと一層味わい深くなる。林田力
http://hayariki.net/

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