2011年9月24日土曜日

二子玉川ライズ住民訴訟控訴理由書:整備の方向性

(4) 本件削除部分の整備の方向性を並列的に論ずる誤り

原判決は、このような誤った判断を前提に本件削除部分の地域性を以下の通り判断している。(原判決28頁8行目以下)

「本件削除部分は、機能的な都市活動を確保するという観点からすると、商業・業務施設、中�密の住宅などを充実させることが適切な地域であると見ることもできるし、他方において、健康で文化的な都市生活を確保するという観点からすると、自然的環境を回復することが適切な地域であると見ることもでき、いずれか一方の地域として整備しなければその地域性に反するとまでは言いがたい場所にあるということができる。」と認定している。

しかし、このように当該地域の地域性について、相容れない対極にある地域性について、単純に並列して、「いずれか一方の地域として整備しなければその地域性に反するとまで言い難い」「すなわち、どっちでもいい。」という判断することは、原審が都市計画の本質を見誤るものである。その理由は以下の通りである。

ァ 国分寺崖線と、多摩川に囲まれた古い河岸段丘のこの地域は、その歴史的、文化的、自然的背景から、世田谷区内では一貫して最も自然や景観を重視すべき地域である。被控訴人提出の乙10号証「昭和62年3月 世田谷区都市整備部都市計画課 作成 多摩川沿い地域整備計画」でも6頁に以下の記載がある。

「多摩川沿い地域は区内でもすぐれた自然景観を誇っている。なかでも国分寺崖線の地形的変化、鬱蒼とした樹林地の存在はまさに地域の骨格的な景観要素となっている。また、多摩川の水面、野川、丸子川、谷川などの小河川がおりなす水辺景観も優れた景観要素である。さらに、崖線上には歴史の重みを感じさせる社寺や邸宅があり、ここからは遠く富士山や丹沢の山並みを望むことが可能である。」として、詳細にその地域性を強調している。また、同じ37頁には「崖線下の樹林地については、開発、建築行為はできるだけ、抑制するとともに、やむを得ない場合は、現状の変更を最小限に抑えるように努める。」と記載してある。

このような一貫して自然、景観を重視すべきとする多摩川沿い地域整備計画の中で、唯一突出して異彩を放っているのが、23頁地図上に示されたA−1で表示される「広域および地域商業中心」として表示されている二子玉川駅周辺である。ただしここでも、駅周辺の住宅地について「中層もしくは高層住宅を主体とする地区」を想定してはいるが、その範囲は現在の1街区周辺と西側高島屋周辺だけが、想定されているし、B−3で表示される住宅は「中層主体、中層住宅の建設にあたっては、周囲の景観を損ねないような建物形態を誘導する。」と記載されている。
http://www.hayariki.net/futako/appeal101111.html
イ 昭和62年3月は同時に乙11号証の世田谷区再開発基本計画が策定され、「広域生活拠点」としての位置づけがなされた時期である。この時点でさえ、基本的にはこの地域の都市計画の基本は、自然環境景観重視の住環境保全を優先させるべき地域であり、しかも、その特別扱いの地域は二子玉川駅周辺(現1街区)に限定されていたのである。

仮に駅周辺に、再開発地区計画による例外的に容積率増加する場合でも、都市計画公園を移動することなく、1街区部分だけの規模で、景観や自然に配慮して抑制的に行われるべきであった。

ウ 風致地区、都市計画公園決定等従来の都市計画によって、守られようとしていた自然環境保護の地域性に反して、昭和58年頃から、東急グループを中心に二子玉川商店街で画策された再開発要求は、自然環境保護の地域性を破壊しようとする企業の利潤追求行為に動機が存在するものであって、自然環境保護の地域性と同列の「地域性」として並列的に論ずべきではない。

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